ハイブリッド・ドラムは、伝統的なアコースティック・ドラムと最新の電子ドラムの技術を融合させることで、現代の音楽でよく使われている電子音や加工された音での演奏を可能にします。2003年以来、ローランドはサンプリング・パッドやドラム・トリガーを用いた革新的なハイブリッド・ドラム・システムを提案し続けてきました。現在ではステージの規模やプロアマチュアを問わず確実に導入が広がり、スタンダードになりつつあります。
SPD-SX PRO の様なサンプリング・パッドは、ハイブリッド・ドラムを使いたいドラマーにとって、強力なパートナーとなります。ワンショット・サウンド、ループ・サウンド、メロディックなフレーズなど、あらゆる音を取り込んで自在に鳴らすことができるのです。ハイブリッド・ドラムは、ドラマーそれぞれが自分のスタイルに応じてさまざまな使い方をしています。数々の受賞歴を持つアニカ・ニールスに、彼女の生い立ちやユニークな音楽スタイル、ジェフ・ベックとの共演でのハイブリッド・ドラムについて語っていただきました。
The Backbeat
ドラムを始めたときのことを教えてください。
“家族で好きな時間にドラムを叩いていたので、練習を苦痛に感じることは全くありませんでした。父もドラマーで、オーケストラではトランペットも吹いていました。私がドラムに興味をもっていることが分かると、すぐにサポートしてくれました。
子供の頃から音楽は好きで、「Off The Wall」を聴いてからマイケル・ジャクソンにハマっていました。ジョン・ロビンソンやジェフ・ポーカロがドラムを叩いていましたが、当時はまだドラマーのことをよく知りませんでした。そんな時、父が「Man in the Mirror」のドラムを教えてくれて。グルーヴやフィルを意識してちゃんとしたドラムで演奏したのはあの曲が初めてでした。”
The Mashup
あなたにとってハイブリッド・ドラムとは?
“長い間V-Drumsを使っていましたが、サンプリング・パッドや音源モジュールを組み合わせたハイブリッド・ドラムにはずっと興味がありました。そして21歳の時から6年間、2つのバンドでドラムを叩いていたんですが、そこでは電子音を多用する音楽をやっていました。音源モジュールとパッドをドラム・セットに組み込んで、スネアとバス・ドラムにはドラム・トリガーを付けていました。その後、ローランドのSPD-SXを使うようになりました。
ハイブリッド・ドラムは、自分のドラム・セットを使いながら、演奏する曲に必要なサウンドを付け加えることができる、画期的なものだと思っています。ループ・サウンドやキック、スネアのサンプルを追加することで、よりダンサブルでポップな演奏ができるようになりました。”
Spotlight: SPD-SX PRO
SPD-SX PROのどんなところが役に立ちましたか?
“ジェフ・ベックのツアー中にSPD-SX PROを手に入れました。ドラマーの演奏を助ける機能がたくさん入っていて、特に片手で演奏しながらもう片方の手でサウンドを調整したいときにとても便利です。パッド・リンク機能を使えば、片方のパッドで複数のパッドを演奏できます。
試しにSPD-SX PROを使って、曲中にフィルターのエフェクトをかけてサウンドを変化させてみました。演奏しながら片手でフィルターをコントロールして、とても良いパフォーマンスができました。まだ全ての機能は使いこなせていませんが、セッティングを変えずに音をこれだけ自在に操れるのは画期的ですね。もともとサウンドの調整にはPCとDAWを使っていましたが、これからはSPD-SX PROを使って作業しようと思います。”
Hitlist Highlights
ライブでは、どんな場面でSPD-SX PROを使いましたか?
“バッキング・トラックの再生や、スネアとキックのサンプルを鳴らすのに使いました。イントロ部分でパッドのみを叩いて演奏した曲もあります。SPD-SX PROの特長として、4つのDIRECT OUTからパッドの音を個別に出力できるという点があるんですが、これはPA側でよりバランス良くミックスするのに役立ちました。EDMも2曲演奏したんですが、この時はドラム・トリガーを使ってSPD-SX PROのサウンドを鳴らして、とても便利でした”
Forward Motion
今後はどのような活動をしていきたいですか?
“ジェフ・ベックのツアーに出る前に、自分のバンド”Nevell”でEPをリリースしました。自分が影響を受けた80年代の雰囲気はあまり無くて、そこではもっとファンキーな演奏をしています。私はいつも自分がやりたいと思う気持ちに従って演奏していますし、他のメンバーも自分の好みやスタイルを自由に出してくれた方が良いと思っています。
今後の活動には、楽しむ部分と突き詰める部分があると思っています。バンド演奏の楽しさに身を委ねるのはもちろん好きですが、自分の演奏をストイックに突き詰めることも大好きです。リズムをもっと深く理解したいという想いは常にあります。本を読むようなもので、次のページに何が書いてあるか気になるけど、途中で読むのを中断しないといけない。仕事をしながら、「早く家に帰って続きを読みたい」と思う。私にとって、ドラムを叩くとはそういうことなんです。演奏を終えて部屋を出る時はいつも、次はどんなドラムを叩こうかと考えています。”




