AIRA Compactを知り尽くす:T-8 Beat Machine
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AIRA Compactを知り尽くす:
T-8 Beat Machine

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T-8は、優れたTRドラム・サウンドとTB-303スタイルのベース・トラックを使って簡単にリズム・トラックを作成することができる、Rolandのクラシックな楽器を再現した最もコンパクトなマシンです。単体でパワフルなビート・マシンであり、象徴的なRolandサウンドによる複雑なビート・メイキングが可能。6系統のドラム・トラックと1系統のベース・トラックを備え、斬新なリズム・トラックの作成やダイナミックなライブ・パフォーマンスのための優れた機能を多数搭載しています。

GUIDE

T-8 Beat Machineについて

T-8はパソコンから離れて音楽制作をしたい時に最適です。ポータブルなシンセサイザーと組み合わせれば、それだけでトラック・メイクのセットアップが完成します。Roland TB-303のシンプルでプログラム可能なベース・サウンドをドラム・サウンドに合わせて、活き活きとしたリズム・トラックを作成できます。ビート・メイクの基礎を学ぶ教育ツールとしても最適で、ライブ・レコーディングや「TRスタイル」のステップ・シーケンスなど、さまざまな作曲テクニックを楽しむことができます。

"T-8は、優れたTRドラム・サウンドとTB-303スタイルのベース・トラックを使って簡単にリズム・トラックを作成することができる、Rolandの最もコンパクトな楽器です。"

最後に、ラップトップでのスタジオ・セットアップに加えて、スマートフォンやタブレットと接続しても、T-8は実践的なビート・マシンとして活用できます。また、USB-Cポートを介して低レイテンシーのオーディオ・インターフェースとしても機能するので、ラップトップとAIRA Compactだけを持ってスタジオを出て、移動中や外出先で楽曲制作やライブパフォーマンスを行うことも可能です。

ビートの作成

PATTERNボタンを押したままバンク1〜4を選択し、ステップ1〜16を押してパターンを選択することができます。パターンを削除するには、SHIFT + STEP 11 [PTN CLEAR ALL]を押します。パターンを作成するには、まず楽器を選択します。バス・ドラムから始めてみましょう。トリガーするステップに入力します。各ステップは16分音符を表し、1、5、9、13が各小節の頭となります。同様にステップ・シーケンサーで他の楽器を追加するか、RECORDボタンを押して個々の楽器ボタンをリアルタイムにタップして入力することができます。点灯しているステップボタンをもう一度押すと、消去されます。早速ビート・メイクを始めましょう。

注 : タムまたはクラップのサウンドを変更したい場合は、MENUを押してVALUEノブをTOMまたはCLAPに合わせてEnterキーを押すと、VALUEノブでサウンドを変更することができます。TOMには2種類のタム音色があり、CLAPでノイズ・タムまたはハイ・タムのいずれかを選択することができます。

"録音した後にスライドやアクセントを追加するには、録音しながら該当のノートでSLIDEボタンまたはACCENTボタンを押します。"

ベース・ラインの作成

ベース・ラインを作るには、まずBASSトラックを選択します。KYBDを押してステップボタンでベースを鳴らし、録音の準備ができたらRECORDボタンを押します。録音した後にスライドやアクセントを追加するには、録音しながら該当のノートでSLIDEボタンまたはACCENTボタンを押します。

または、ステップ・シーケンサーを使用して入力することも可能です。KEYBOARDモードをオフにし、トリガーするノートをオンにして、ステップを押したままノブを回して各ステップのピッチを決めます。特定のノートを長くしたい場合は、延長するノートの右側のステップボタンを押したままノブを右に回してTIEを選択します。延ばしたいところまで隣のステップで続けて実行することができます。ステップボタンを押したままアクセントやスライドを追加したり、ACCENTを押して2つのオプションを切り替えたりすることもできます。

"パフォーマンス・ツールとしてベース・ラインのランダム機能を使用し、カオスなビートから次のパターンへとダイナミックに移行できます。"

ベースのサウンド・メイク

次に、ベースのサウンド・メイクです。CUT OFFノブとRESOノブを使用してフィルターのカットオフとレゾナンスを調整し、ENV MOD(エンベロープ・モジュレーション)ノブとDECAYノブでベース・サウンドの輪郭を形作っていきます。のこぎり波か矩形波のいずれかを選択するには、PATTERN+STEP 11(PTN CLEAR ALL)を押して選択します。BASS + KYBDボタンを押したままノブを回すと、ベース・ラインを半音ずつリアルタイムで移調することができます。

ランダムなベース・パターンやドラム・シーケンスを生成するには、リズムの場合はSHIFT + STEP 9を、ベース・ラインの場合はSHIFT + Step 10を押します。好みの組み合わせが見つかるまで、何度でも行うことができます。また、次のパターンに移行する前に、ランダム機能を使ってカオスなビートを生み出すようなパフォーマンス・ツールとしても使用できます。元のベース・ラインに戻すには、PATTERN + STEP 15 [OCT +(MENU)]を押すだけです。

: この機能は、リズム・トラックとパターンで使用可能です。SHIFT + STEP 9 [G#(RANDOM RHYTHM)] を押すと、ランダムなリズムが生成されます。リズムを元に戻すには、PATTERN+STEP 14 [OCT(REVERB)]を押します。また、パターン全体を戻す場合は、PATTERN+STEP 16[SLIDE(WRITE)]を押します。

高度なプログラミング

サブステップ 

AIRA Compact T-8には、さらに複雑で躍動感のあるトラックを作成するのに役立つ、高度なプログラミング機能を搭載しています。ビートにシャッフルやスイングを追加するのは簡単です。SHIFT + STEP 3(SHUFFLE / D)を押しながらノブを回して、シャッフルの量を調整します。このパラメーターでは、表と裏の両方のシャッフルを使用できます。極端にするとかなりワイルドなビートになる可能性がありますが、どちらの方向にも5%以内にとどめると、ビートに絶妙なグルーヴを加えることができます。

シーケンスにサブステップや連打を追加するには、楽器のボタンの1つを押したままステップを押して、そのステップで実行するリピートの数を設定します(OFF – 1_2 – 1_3 – 1_4 – FLAMから選択可能)。これはパターンに躍動感を与えるのに非常に有効なツールで、音量を大きくすることなく効果的にアクセントを効かせることができます。 

"プロバビリティは、パターンに躍動感と音楽性を与えます。これにより予測不能なグルーヴを生み出すことが可能です。"

プロバビリティ  

プロバビリティは、パターンに躍動感と音楽性を与えます。特定のステップのプロバビリティを設定するには、該当のステップボタンを押したままノブを回すと、シーケンスが繰り返されるたびに、そのノートが鳴る可能性を設定できます。これにより予測不能なグルーヴを生み出すことが可能です。

より劇的な効果を得るには、PATTERNボタンを押したままノブを希望の設定に合わせることで、パターン内のすべてのノートのプロバビリティを制御するマスター・プロバビリティを設定することも可能です。これは、シーケンス内の全体的な発音比重を減らし、その後で元に戻すようなパフォーマンス・ツールとしても機能します。同様に、マスター・プロバビリティを0に設定すると、プロバビリティを設定しているステップを確認することができます。

ベロシティ

パターン内のベロシティを調整することで、機械的で単調なリズムに活き活きとしたグルーヴを与えることができます。ステップのベロシティを変更するには、ステップを押したままACCENTボタンを2回押し、ノブを回してベロシティを設定します。これにより、一段とダイナミックで自然なビートを作成することが可能となります。

ノート・シフト  

ビートができたら、もう一つの優れた機能であるパターン・シフトを使ってリズムを一変させることができます。特定の楽器ボタンを押したままノブを回して、トラックに最適なパターンが見つかるまで微調整します。これはベース・ラインでも面白い効果を発揮し、ベース・ラインがビートにマッチする場所を見つけて意外性のあるビートを生み出すことができます。また、ビートの雰囲気を一瞬で切り替えるテクニックとしても有効です。

"ビートができたら、もう一つの優れた機能であるパターン・シフトを使ってリズムを反転させることができます。特定の楽器ボタンを押したままノブを回して、トラックに最適なパターンが見つかるまで微調整します。"

ラスト・ステップとリロード  

トラックのラスト・ステップを変更することで、ポリリズムなシーケンスをリズムやベースに対して個別に設定できます。これにより、リズムとベースに異なるステップ数が割り当てられ、互いに干渉しながら複雑なグルーヴを生み出すことができます。リズム・トラックまたはベース・トラックを選択し、SHIFT + STEP 4(LAST)ボタンを押したまま、ノブを回してそのトラックの長さを設定します。

拍の頭(1、5、9、13)でキック・ドラムを鳴らしてリズムを16ステップにし、ベース・トラックを奇数の長さ(5、7、または9ステップ)にしてみてください。ベース・トラックにいくつかのステップを追加し、2つのトラックが連続するループごとに、どのようなグルーヴが生まれるか確認してみましょう。

エフェクト:ディレイ、リバーブ、オーバードライブ  

T-8には、サウンドを彩るディレイ、リバーブ、オーバードライブの3種類のエフェクトを搭載しています。各楽器にリバーブとディレイのセンド量を設定できます。バス・ドラムよりもスネアやハイハットの方にディレイを深くかけたい場合などに、大変便利です。個々の楽器にディレイやリバーブを設定するには、SHIFT + STEP 13(DELAY)またはSTEP 14(REVERB)を押したままノブを回して調整します。

オーバードライブは、PATTERN + STEP 10(RANDOM BASS)を使用して、選択した楽器のオーバードライブをオンにしてから、オーバードライブ・レベルを設定します。特にベース・サウンドに歪みと複雑なテイストを加えて、リズム・トラックに独特なうねりを生み出すことができます。

"T-8には、サウンドを彩るディレイ、リバーブ、オーバードライブの3種類のエフェクトを搭載しています。"

サイド・チェイン  

T-8は強力なサイド・チェイン機能を搭載し、ミックスに躍動感のあるダイナミクスを与えることができます。通常、バス・ドラムはベースのレベルを「ダッキング」し、ベース・ラインに応じてミックスを支えます。サイド・チェインは、主にディレイとリバーブに適用すると、クリエイティブなエフェクトとしても効果的です。ダッキングが躍動感を生み出し、ゲートによるチョップでエッジの効いたリズムを演出、ロング・ディレイやリバーブのテールをチョップする際などに最適です。

T-8のサイド・チェインを設定するには、PATTERN+STEP 12(PTN CLR INST / B)を押します。全体的な深さを調整し、ノブを回して楽器ごとのダッキングとゲートの深さ、サイド・チェインとサイド・チェイン・ソースのタイミングなどのメニューにアクセスできます。ゲートの深さを上げることで、「ダッキング」効果から「ゲーティング」効果に切り替えることができます。これらのさまざまなタイプのサイド・チェインをエフェクト・トラックに適用し、さまざまなサイド・チェイン・ソース(キック、ベース)を使用して、このクリエイティブな効果を試してみてください。この機能は、さまざまな楽器とFXトラックの間で、よりダイナミックでエネルギッシュなミックスを作成するのに効果的です。

"T-8のリアルタイム・パフォーマンス機能を使用して、ビートに命を吹き込むことができます。"

リアルタイム・パフォーマンスのための機能  

ビートを作成したら、T-8のリアルタイム・パフォーマンス機能を使用して、より活き活きとさせることができます。まず、SHIFT + PATTERNを押して、ステップ・ループ・モードに入ります。任意のステップを押したままにしてそのステップを繰り返すか、ステップの任意の組み合わせを押して、それらのビート間をループしてみてください。ダイナミックなリズム展開をリアルタイムで行うのに最適です。

ミュート 

もう一つの非常に重要なパフォーマンス機能としてミュートがあります。SHIFT +任意の楽器を押すと、そのトラックをミュートできます。同様に、SHIFT + STEP 15(MENU)からミュート・モードにアクセスすると、SHIFTボタンを押さずに個々のトラックをすばやくミュートおよびミュート解除できます。これらの方法で、ミュートを効果的に活かしたパフォーマンスが行えます。トラックを最適なタイミングで出し入れし、ドラマチックに演出することが可能です。

フィル 

最後に、フィルを使用してビートを切り替えるには、Shift + STEP 8(FILL PTN)を押し、フィルとして使用するパターンを割り当ててから、SHIFT + STEP 7(FILL TRG)を押して選択したフィルをトリガーします。フィルは、パート間の短い即興的なトランジションであり、リスナーを飽きさせないために重要な効果を発揮します。

AIRA Compactについて

Evan Shamoon

Evan's work has appeared in a host of print and online publications, including Rolling Stone, Wired, The Fader, and Tenderly.