Shabaka Hutchings
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Shabaka Hutchingsとのひと時

革新的なフルート奏者である彼が、自身の音楽キャリア、偉大なアーティストたちとの共演、そしてAerophone Brisaとの出会いについて語る。

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Shabaka Hutchingsは、イギリスとカリブ海の東端に位置するバルバドスにルーツを持つ作曲家、マルチプレイヤー、そしてバンドリーダーである。彼の音楽は、ジャズやクラシック、アフロ・カリブの伝統音楽が交差する独自のスタイルを持っている。そのサウンドは、ディープリスニング(リラックス効果のある音楽) 、即興演奏、そして実験的なアプローチに基づいており、SP-404MKIIのようなデジタルツールや、世界各地のフルートを取り入れることも多い。この著名なフルート奏者である彼が、自身の音楽キャリア、コラボレーションの数々、そしてAerophone Brisaが彼にどのようなインスピレーションを与えたのかについて語る。

Global Tuning

音楽的バックグラウンドについて教えてください。

私はバルバドスで育つ中で音楽を始めました。そこではカリプソ(ジャズ調の民族音楽)やレゲエのバンドが多く、まずはそうした音楽に親しみました。18歳のときにロンドンへ移り、ギルドホール音楽院でクラシック・クラリネットの学位を取得するために学びながら、地元のジャズ・シーンでさまざまなグループと演奏活動をしていました。

これまでにBBCコンサート・オーケストラ、リゲティ弦楽四重奏団、ロンドン・シンフォニエッタなど、さまざまなクラシック・アンサンブルのために作曲してきました。グループでの活動としては主にImpulse! Recordsからリリースしている “Sons of Kemet “、” The Comet is Coming “、” Shabaka and the Ancestors “があります。私の音楽活動の多くは、様々なアーティストたちとのコラボレーションを通じて、異なる音楽構成に対して、自分自身がどう反応するかを探ることに基づいています。

「さまざまな影響から学んだのは、最終的には“ルール”など存在しないということです。」

あなたの作品はジャズ、クラシック、アフロ・カリブの伝統にまたがっていますが、これらの影響は、あなたの音作りや即興演奏にどのような影響を与えていますか?

私が受けてきた多様な影響は、最終的には“ルール”など存在せず、重要なのは、その音楽に真剣に向き合っているかどうか、耳を傾けているか、そしてその音楽の本質的な機能を理解しているかどうかです。

実験的コラボレーション

これまでジャンルの境界を超えて様々な演奏活動を行ってきましたが、あなたの創作プロセスにおいて「実験」はどんな役割を果たしていますか?

実験は、音楽に対する自分の興味を保つための手段です。たとえ技術的に完璧な音楽ができたとしても、それに心が動かされ、表面的な音以上の深みを追求したいと思えるものでなければ意味がありません。だからこそ、実験は自分の興味を引きつける未知の領域を音楽の中で見つけるための最適な手法なのです。

あなたのシングル「I’ll Do Whatever You Want」では、Andre 3000がフルートを演奏していますね。その経験はどんなものでしたか?

素晴らしい体験でした。私は彼の新しいアルバム「Blue Sun」のためにいくつかのセッションを録音したのですが、彼が「何か自分の曲でも演奏したい」と言ってくれ、ちょうどロンドンにいるタイミングで一緒に制作することができました。ギターにはDave Okumu、ベースにはTom Herbertが参加しました。

何時間もジャムセッションをして、その中からベストな瞬間を選び出しました。その後、Floating Points(イギリス出身の音楽プロデューサー、DJ)に素材を渡して、さまざまな要素を加えたり、構成を調整したりしながら、最終的な楽曲に仕上げていきました。

切り取り、並べて、繰り返す

最近、SP-404MKIIをセットアップに取り入れていますね。何がきっかけで使い始めたのですか?また、ライブやスタジオでの活動にどのように役立っていますか?

最初に惹かれたのは、私が大ファンであるRas Gがこの機材を愛用していたからでした。その後、自身で実際にいろいろ試してみると、SP-404MKIIは非常に多機能で、録音した素材を創造的に扱う上で大きな助けになることに気づきました。私はアフリカのフィールド録音をよく聴くのですが、そこから印象的な瞬間を切り出してSP-404に取り込み、さまざまなシーケンスを作成することで、これまでとは違った新鮮な聴き方ができるようになりました。こうした実験は。時々SNSに少しだけ投稿することもありますが、基本的には自分の楽しみのためにやっています。もしかしたら、いつかこの素材を使ったアルバムが生まれるかもしれません。

「音に触れながら効果を加えるという“手触りのある”実験ができることで、自分が求める音のイメージがより明確になり、広がっていきました。」

SP-404MKIIのようなデジタルツールは、伝統的な楽器の延長線上にあるものだと思いますか?それとも全く別物だと考えていますか?

私はそれらを確実に「延長線上のもの」として捉えています。演奏者としても作曲家としても、自分の録音を自在に操作できることで大きな恩恵を受けています。さまざまなセクションを切り出して、異なるシーケンスに配置することで、音楽に対する新たな視点を得られました。音に“触れるように”効果を加えながら実験できるという感覚は、自身が求める音のイメージをより明確にし、さらに広げてくれました。

変わりゆく風

Aerophone Brisaを初めて触ったときの印象はいかがでしたか?

音色の幅広さに惹かれましたし、昼夜問わず、電車や空港のラウンジなど、どんな場所でも演奏できるという点が気に入りました。また私はあまり鍵盤楽器に自信がないのでBrisaでシンセパートを音楽に加えられる点も非常に魅力的でした。

Brisaの表現力や操作性についてどう感じられましたか?

まず表現力は演奏者自身から生まれ、それが手元にあるツールに反映されるものだと思っています。その上でBrisaはアコースティック・フルートの体験を再現できますが、私はBrisaで得られる体験はまた別の、新しいものとして捉えるようにしています。

「Brisaは私のセットにおける電子音楽的な側面を強化するツールとして、欠かせない存在になると思います。」

Brisaの内蔵音色や機能の中で、すぐに音楽的な新しいアイデアに繋がったものはありましたか?

馬頭琴(ばとうきん)の音色がとても表現力豊かで気に入っています。演奏しているうちに、自分の音楽のさまざまな場面が自然に浮かんできました。

Brisaは、ライブセットや作曲ツールの一部になりそうですか?

間違いなくそうなると思います。まず、自分の音楽に最も合う音を見つけ、そしてそれらを自分が生み出す音の世界に溶け込ませるためにどんなエフェクトを加えるべきかを見極めることが肝要です。Brisaは私のセットにおける電子音楽的な側面を強化するツールとして、欠かせない存在になると思います。

Aerophone Brisaを一言で表すとしたら、どんな言葉になりますか?またその理由も教えてください。

「多彩」ですね。演奏スタイルの面から見ても、音の可能性が非常に広いからです。

絶え間ない旋律

今後の展望について教えてください。

今後は、楽曲制作、特に録音した素材を自在に操作することにより力を入れていきたいと考えています。最近はソロやデュオでの演奏にシフトしてきているので、バンドという枠を超えて、どのようにして音の世界を構築していくかを模索しているところです。

Carolyn Shlensky

Carolyn is Sr. Brand Copywriter for Roland. She lives in Los Angeles with her husband and two Mini Schnauzers and enjoys digging through vinyl, books, and thrifted clothes.