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メイキング・オブ・Tone Explorer:Roland Future Design Lab笹森一義氏とのインタビュー

Tone Explorerのコンセプト、その挑戦、そして次に起こりうるものは何なのか、Roland Future Design Labからお届けします。

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Tone Explorer とは、Rolandがファンにテクノロジー・プレビューとしてお届けする最新のRoland AIアプリケーション。そのコンセプト、その開発チームが直面した課題、そしてRoland Future Design Labから次に何が起こりうるのか、それらについてTone Explorerプロジェクトリーダーである笹森一義氏にインタビューしてみました。

笹森さん、あなたの経歴について教えてください。いつ、そして何故ローランドに入社したのか、これまでどのような仕事をされてこられたのか、そしてこれまでで最も思い出深い経験や最大の成果はなんだったのでしょうか?

ローランドに入社したのは2001年の事です。シンセサイザーやシーケンサーを使ったエレクトリックな音楽が好きで、何よりシンセサイザーを作りたいと思ったからです。大学ではデジタル信号処理を専攻していましたが、入社してからはハードウェアのエンジニアやサウンドシステムの設計、シンセサイザーのプロダクトマネージャーなどを担当してきました。これまで一番印象に残っていることはV-Piano Grandのサウンドシステムを手掛けたこと、一番の成果はJUNO-DSRD-2000FANTOM/FANTOM-0を手掛けたことでしょうか。

「最初はAIだとわかりませんでしたが、アルゴリズムやプログラミングではできない事をAIが解決していると知った時にこれは可能性があると強く感じました。」

AIがもたらす創造的可能性を研究しようと思われたのは、どんな経緯からでしょうか?

スマートフォンにAIが搭載されて便利な支援をしてくれる様になってからです。最初はAIだとわかりませんでしたが、アルゴリズムやプログラミングではできない事をAIが解決していると知った時にこれは可能性があると強く感じました。

Kazuyoshi Sasamori
Photo courtesy of Kazuyoshi Sasamori

Tone Explorerを着想したのは、どこからですか?

シンセサイザーのプロダクトマネージャをしていた時に、ユーザーさん達と対話していて気が付きました。音色を選ぶのが難しいと感じる人が実は多くいるのです。そのユーザーさん達は楽器に音があるのに一度も聴いたことが無いし、選び方も分からないと言っていたのです。これが発想の原点です。

Tone Explorerならではの点って、なんでしょう?

どんなフレーズにも定番と呼べる音色がありますが、定番でなくても良い組み合わせになる音色はあります。これまでは偶然の奇跡や経験値で選ばれていましたが、Tone Explorerはより出会いやすくなっているのが特徴です。実際私も「こんな音色があったのか」と驚くことは多く、想像を超えた結果に出会えるのは驚きでした。

Tone Explorerは生成型AIを使用していませんよね。AIがどう働いているのか、簡単にご説明いただけますか?

Tone Explorerはフレーズの意味と音色の特徴における相関を学んでいるにすぎません。そして、学んだ相関を基に新たなフレーズに対して音色を提案しているだけです。提案から選ぶのは人であり、その候補をたくさん並べてくれるというだけなのです。過程における支援を行っているだけなので、生成AIの様に入力から成果物を出す仕組みとは異なっています。Tone Explorerの結果は選ぶ人によって異なるというのも大きく違っていると思います。

「Tone Explorerはフレーズの意味と音色の特徴における相関を学んでいるにすぎません。そして、学んだ相関を基に新たなフレーズに対して音色を提案しているだけです。」

Tone Explorerの開発で難しかったところはあったのでしょうか? もしあった場合、どのようにして解決したのでしょう?

どう開発するか、そしてどのようにデータをそろえるかが苦労しました。開発には悩みましたが、パートナーとなったQosmoと相談したことで道が開けました。またコラボレーションを認めてくれたローランドの新たな方針にも助けてもらいました。

データに関してもどう準備するかを悩みました。我々にはZEN-Coreという資産があることを思い出し、これに関連したローランドのデータを集めて処理することにしました。自分自身のチャレンジはこのデータを作成するプログラムを久しぶりに書いたことです。

Tone Explorerを開発するにあたりQosmoと協力したわけですが、どうでしたか?

お客様への価値を第一に開発を行えて本当によかったです。意味や目的を何度も議論しながら丁寧に過程を積むことが出来たので実現に至ることが出来、意義ある開発になったと思います。

Qosmoとは、人間がAIでもって新しい創造性を生み出せると信じ、その方法を探求している会社です。彼らが私たちの視点を理解してくれたため、人間中心の発想で開発に取り組めました。

Tone Explorerのインターフェースは独創的です。このアイデアはどこから来ましたか?

Qosmoとの議論の中です。選ぶのが苦手な人は「音色が選ばれている」方が便利なのではないかという問いかけでした。これには様々な意見があり、実際のユースケースを考えたりシミュレーションしていく中で形作られて行きました。

確かに選ばれるのは便利ですが、好みや要件は人それぞれです。そのため、選択肢を設けることで一定の範囲から選択しやすくしました。さらに、深く探索したい人もいることを考慮して、すべてにアクセスできる画面も作りました。いろんな意見、ユースケースの考慮、シミュレーションを通じて、インターフェースが形作られていきました。色やフォルムも考慮して、さまざまな状況に耐えうるものになったと思います。

最近、ブリストルで開催されたAudio Developer Conference (ADC) にてTone Explorerをデモンストレーションされましたが、それをご覧になった方々の反応はいかがでしたか? そして逆に笹森さんが驚かされたこととかってあったりするのでしょうか?

とても良い経験でした。多くの人は演奏したフレーズに合う音色を見つけられる体験して、とても驚いていました。また、意図していなかった音色との出会いや新たなイマジネーションを得られたと喜ぶ人もいました。誰でも音色が選べるのでローランドの取り組みが不要だと思っていた人も、触ってみると確かに便利だという感触が得られた様です。何人かの方は正直にその旨を話してくれたのがADC特有でもあり驚きでもありました。

「いろんな意見、ユースケースの考慮、シミュレーションを通じて、インターフェースが形作られていきました。」

次に来るものとして考えているのは何ですか?

引き続きAIを活用して楽器の可能性を広げていく取り組みを続けていきます。Tone Explorerもチャレンジしたいことがありますし、アイデアや興味がまだまだあるので沢山挑戦して皆さんに届けていけたらと考えています。

今すぐTone Explorerを試しましょう!

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➡️ Tone Explorer セットアップガイド

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システム要件

Tone Explorerを使用するためには、最新版のGoogle Chrome ウェブ・ブラウザー(macOS版またはWindows版)が必要です。

* Tone ExplorerWindowsmacOS対応のウェブ・ブラウザー上で動作するウェブ・アプリケーションです。Google Chromeでの動作を確認しています。他のウェブ・ブラウザーでの動作については本テクノロジー・プレビューではサポートしておりません。

* Tone ExplorerGALAXIASZENOLOGYと組み合わせて動作します。それらソフトウェアのシステム要件も合わせてご確認ください。

Roland Future Design Lab

Roland Future Design Lab is a horizon-scanning R&D group focused on researching, evaluating, and developing new music creation experiences. RFDL studies shifts in culture, society, technology, and human expression and build proofs of concept to push the boundaries of what’s possible.