PCスクリーンから抜け出し、現実の世界へ出向いてクリエイターやパートナーたちに会いに行く ~ これはRoland Future Design Lab(RFDL)にとって欠かせないことです。だからこそTone Explorerテクノロジープレビューのローンチとモロにスケジュールがバッティングしているにもかかわらず、私たちのチームメンバーはトリップホップ発祥の地であるイギリスはブリストルに赴き、ADC 2024 Audio Developer Conferenceに参加しました。そのミッションは、ロ-ランドのAIに関する包括的なビジョンを楽器業界に提示し、その実証としてRoland Tone Explorerを私たちと同じくらい眼力鋭い音楽愛好家やオーディオ処理技術ヲタクたちに実演してみせることでした。ぶっちゃけ他の多くの企業と同様、私たちはADCで採用募集活動も行っていたのです。まさにRFDLは成長中。そして、もちろんMassive AttackやPortisheadの曲がヘビロテしていたましたね。
AIに対してローランドが提唱する包括的ビジョン
Tone Explorer(および私たちが取り組んでいる他のAIプロジェクトたち)は、ローランドが長年にわたって開発してきた人工知能に対する全体的なビジョンと戦略の中に位置づけられています。これについては、他の記事でより詳しくご説明致しましょう。ひとまず私たちは「包括的アプローチ」でもって、人間の創造性に対し,AIのような破壊的テクノロジーがもたらす機会と危険性との両方を認識しようと務めていると述べておきますね。
ADCでは、私たちの方針(AIに関する私たちのルール)、ガバナンス(ルールの執行方法)、そしてイノベーション(私たちのルールを尊重するAIでもって創造できる素晴らしい新しいものたち)を皆さん一緒に検討していく取り組みについて語りました。また、今年初めにローランドとユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)が発表したAIに関するルールに、100以上のブランドが賛同(!)していることも伝えました。さらに、ローランドとUMGが立ち上げた「ミュージック・プロヴェナンス・プロジェクト」と呼ばれる取り組みを通じて、ガバナンスにまつわる私たちの考えを紹介しました。そしてもちろんTone Explorerの史上初ライヴ・デモンストレーションも行ったのです。
Tone Explorerに対する初期反応
11月12日午前9時にADCの2日目が始まる、まさにその1時間前にTone Explorerがローンチされました。このタイト・スケジュールからすると、この私たちがお送りしたテクノロジープレビューを最初に見て試したのはADC参加者たちだったと言えるのではないでしょうか。お蔭様で評判も非常に上々。その場におられた皆さんは、「楽曲制作にてフレーズをMIDI録音しても、それにマッチする音色を見つけるのが難しい」というあるある問題に気づき、しかもTone Explorerが解決となること、さらにはこれがAIの使い道として興味深く適切であると納得されておられるようでした。また、実験的に思えた「Solar」と「Constellation」のユーザーインターフェイスも直感的で楽しいと評判でした。まずは順調な滑り出しですね。
でもさすがにSonicStateから私の長年の友人であるNick BattさんがTone Explorerがどんなものか確認すべく私たちのスタンドに現れたときは、少し不安にもなりました。Nickに会えるのはとても嬉しいのですが、同時に彼はとても知識が豊富で物事をずばっと見抜く人なので、これが私たちの仕事において初期段階での肝となるリトマス試験紙になるのは明らか。公平に申し上げますが、Nick自身で深く機能をテストする時間はありませんでした。しかし、プロジェクトリーダーの笹森さんによる詳細なガイドツアー中、彼の反応は非常に前向きでした。お蔭で彼は将来バージョンがどうなると良いか提案し始めたくらいです。
Tone Explorerの次のステップは?
こうして何ヶ月にもおよぶ開発の後、ついにTone Explorerが進歩的な音楽クリエイターたちによってお試しいただけるようになったわけです。今後RFDLチームは、寄せられ始めたフィードバックに対応しつつそれらを研究していきます。Tone Explorerで解決しようとしている問題は本当に存在するのか? これは音楽制作におけるAIの有益かつ脅威のない応用例なのか? Tone Explorerは良い提案をしていのか? ユーザー体験をどう改善できるか?などなど、フォーカスすべき重要課題はいろいろあります。
ご存知の通りRoland Cloud Ultimateメンバーは、すでに新しいGalaxias Labsの機能を通じてTone Explorerテクノロジープレビューにアクセスできます。Roland Cloudを利用したことがないけれどもTone Explorerを試したいという方には、無料の期間限定のRoland Cloud Ultimateメンバーシップをご提供しておりますので、よろしくお願いいたします。