ボストンを拠点とするDavid BellowことLightfootは、ローファイ・ビート・コミュニティにおいて、その巧みな手腕で高く評価されているアーティストです。プロデューサー、DJ、そして教育者としても活躍する彼は、その才能と実験的手法を基に独自の世界観を築き上げ、ヒップホップ、ジャズ、レゲトン、そしてエレクトロニックなテクスチャーを織り交ぜた、ジャンルを超える没入感あふれるサウンドスケープを生み出しています。Boston Music Awardsに5度ノミネートされ、2019年にはElectronic/Dance Artist of the Yearを受賞した彼は、バークリー音楽大学で若いクリエイターを導く立場としても活躍しています。このビート界の重鎮が厳選した、知られざるSPの名曲の数々とともに、全23曲という大作となったミックスのなかで、そのハイライトとなる箇所について、コメントを紹介します。
Playlist
1. 01_Sp404 by DIBIASE
ビート・カルチャーに少しでも触れたことがあるなら、DIBIASEという名前を聞いてすぐにピンとくるはず。Dibiは、私を含め多くのビート・ヘッズにとって、SP-404を世に広めた立役者といえる。今回のミックスで難しかったのは、すべてをSP-404中心で据えることだった。
Dibiはどんな機材でも自在に操り、制作プロセスを明かさないことで有名だから、どれが明確に404で作られたものなのか見分けがつかないことも多かった。そこで、SoundCloudを深掘りしていくと数多くの名曲が埋もれているなか、配信の音源なのかバトルの音源なのか、このワイルドなビートに出会えた。元はどうあれ、オープニングに完璧だった。レジェンドの圧倒的なスキルと、SP-404独特のキャラクター、どちらも存分に感じられる。
2. Untitled by Foliagebeats
SP-404の面白いところのひとつは、制作ツールとしてだけでなく、パフォーマンスの核にもなるところだ。その場限りのビート・セットとなる音楽もありえるし、完成された作品にも即興的なエッセンスが残る。このFoliagebeatsのセットは、つい何度も繰り返し聴きたくなる。これらのビートが実際どこに存在しているのかは分からないが、そこがまた魅力を高めてくれる。SP-404というキャンバスの中で、サウンドスケープ、テクスチャー、ドラム、そしてサンプルを、見事に融合させ、ひとつの世界観を作り上げている。
3. Lov4ver by Saaaz
Saaazは、UK出身の多作なビートメイカー/プロデューサーで、表舞台、裏方を問わず、精力的に活動している。ソーシャル・メディアやビート・シーンでも存在感が強く、その勢いは止まらない。彼女の作品にはいつも何かしらの進化を感じられ、このトラックでは、絶妙なグルーヴ感の中、レトロな質感を現代的なアプローチを用いて表現されており、SP-404のサウンドを象徴している。
4. Sp404 by Sqvlls
Sqvllsを知ったのは少し遅く、最初はElevator Musicでその存在を知った。彼はCDJやSP-404、さらにはスケートボードまで、さまざまな分野を横断するマルチ・アーティストで、それらすべてが独特の雰囲気を作り出す糧になっている。このミックスのためにディグし始めるまで、彼が404を使っているとは知らなかったので、トラックを見つけたのは大きな驚きだった。普段はあまり聞くことがない404の一面を引き出していて、この機材がもつ多様性をうかがい知ることができる一曲。
5. Luvtraps by HAJÉ
HAJÉはSoundCloudで数多くをリリースする一人。チョップ、ドラム、スウィングに至るまで、すべてに意思を感じる。SP-404のサウンドを軸に、現代的な工夫を加えているのがよくわかる。プロデューサーが何を重要とするか、そのバランスを聴くのはいつも楽しみで、この曲は全方位が完璧なバランスとなっていて、まさに珠玉の一曲だと思う。
8. Sequence by Loman, Kadeem, Notebook P
彼らはまさに、自分の地元のヒーローみたいな存在だ。404を持って、数多くの場所を一緒にツアーをしてきただけに、単なる音楽を超えた真の絆があるからこそ、仲間の作品を収録することは重要だと思った。特にLomanのフリップは見事で、このトラックには、ともに過ごしたエネルギーみたいなものが詰まっている。
10. Untitled by Tajima Hal
404のセットにTajima Halのフリップが入っていないと、何か物足りない気がする。彼が404で織りなすサウンドとその技には、いつもインスパイアされる。他の多くの人と同じように、自分もまた、彼のMellotron 404セットを参考にライブ・セットを組み立てている。まだ見ていないなら、絶対にチェックしてほしい。このトラックはいろいろとSoundCloudをディグし続けて偶然見つけた曲だけど、一発で惹かれた。本当に良い。
12. Dark Room by Lilith
13. Guidance by Lilith
トラック12と13は、Lilithという新進気鋭のアーティストの作品。彼女は現在バークリーの学生だけど、作品はその枠をはるかに超えていて、生み出されるサウンドや、ジャンルを自在に行きかう姿勢にはいつも驚かされる。この2曲を続けたのは、それらが独自の世界観を醸し出していたから。「Dark Room」は、前衛的なサウンドを追求するレーベルDeJaVuからもリリースされていて、その方向性も一致している。
17. Ice Cream by Monsrock
Monsrockはビート・シーンにおいて重要な人物だ。自身の作品はもちろん、Flip a Beat Clubでの活動まで多岐にわたり、カルチャーに多くの貢献をしている。DIBIASEと同じく、彼も、何でも使いこなせてしまえるタイプだ。
彼には個人的な思い出もある。Lomanと一緒にベイエリアを訪れたとき、私たちを温かく迎え入れ、最高の時間を過ごした。その後、Dibiと合流してサクラメントの街を隅々まで案内してくれたこともあって、それは忘れられない経験となった。単なる音楽の話だけではなく、コミュニティについて、歴史、そしてこのカルチャーの深さに触れることができた。このトラックを収録することが大切だと思ったのは、サウンドだけでなく、これらを支え続ける、そんな人と人のつながりを象徴しているからだ。
22. Mirror Memory by Teebs
「Anicca」は、ここ数年の辛い時期を支えてくれたアルバムの一つ。Teebsは才能あふれるストーリーテラーで、音で感情的な風景を描く才能がまさに群を抜いている。このトラックがSP-404で制作されたと知ったときはとても驚き、正直かなり興奮した。404が使い手によって、どれほど深い表現ができるかを示してくれた良い例だろう。






